平成30年第2回定例会において議員定数を27人から25人に削減する条例案が可決されました。
議論の過程をまとめます。
1.「議員定数を27人から3人以上削減すること」を求める陳情
1. 議論の発端と陳情者の主張
平成29年8月、市民団体「議員削減を求める会」から、「議員定数を27人から3人以上削減すること」を求める陳情が、4,568筆の署名とともに提出されました。
- 主な根拠: 人口減少、厳しい財政状況、他自治体(大阪府大東市や札幌市など)と比較して江別市の「議員1人当たりの人口」が少ないことなどを挙げ、「少数精鋭」にすることで議員の存在意義を高め、削減分を子育てや教育予算に充てるべきだと主張しました。
2. 審査のために収集・検討された資料
委員会では、客観的な判断を行うため、多くの資料が要求・提示されました。
- 類似都市比較: 全国および道内の類似した人口規模・人口密度の都市における定数、常任委員会数、面積の比較。
- 報酬と経費: 道内主要都市の議員報酬や、江別市議会の議員1人当たりの年間経費(約658万円)の算出。
- 財政影響: 議員数の増減が地方交付税の額には直接影響しないことの確認。
- 活動実態: 江別市議会の委員会開催日数や審議時間が、道内でも上位(3番目)に位置するという活動量のデータ。
- 他市の動向: 函館市や千歳市など、近隣都市での削減議論の論点や背景。
3. 議員間の自由討議における主な論点
平成30年1月に実施された自由討議では、以下の4項目を軸に深い議論が交わされました。
- 定数の決定要因: 単純な人口比だけでなく、「面積(地域性)」「産業構造」「議会の審議能力」を総合的に考慮すべきとの意見が多数を占めました。
- 審議機能の維持: 江別市議会は「委員会中心主義」を採っており、1委員会あたりの適切な人数を確保しなければ十分な行政チェックや政策立案ができないという懸念が示されました。過去に4常任委員会を3つに減らした経緯から、これ以上の削減は負担過重になるとの指摘もありました。
- 多様な意見の反映: 定数を減らしすぎると、組織力のない「市民派」の立候補が難しくなり、少数意見や多様なバックグラウンドを持つ住民の声が切り捨てられる恐れがあるとの議論がなされました。
- 議会不信への対応: 定数削減を求める声の背景には、議会の活動が見えにくい、あるいは一部の不祥事による「不信感」があることを認め、「わかりやすい議会」への改革が急務であると反省の声が上がりました。
4. 結論
議論の結果、平成30年2月に本陳情は「趣旨採択」(陳情の趣旨には賛成するものの、即時の実現は困難と判断されたもの)と決しました。
- 趣旨採択の理由: 削減すべきという陳情の趣旨は理解できるものの、陳情が求める「3人以上」の削減が直ちに適切であるかについては意見が分かれ、さらなる検討が必要とされたためです。
2.「議員定数を27人から2人削減して25人とする」条例改正
2018年(平成30年)6月の定例会において、議員定数を現行の27人から2人削減して25人とする「江別市議会議員定数条例の一部を改正する条例の制定について(議案第53号)」議論されました。
1. 提案の背景と削減の根拠
提案者側は、以下の理由から削減の正当性を主張しました。
- 他都市との比較: 江別市と同規模の自治体(人口約11万4,500人規模)の平均議員数が24.4人であり、江別市は人口比で議員定数が多い状況にある。
- 委員会運営の効率化: 地方自治の研究によれば、1常任委員会あたり7〜8名が適正とされる。定数を25人にすれば、3つの常任委員会を各8名(プラス議長1名)で構成でき、審査の深度を保ちつつバランスよく運営できる。
- 財政状況と「身を切る改革」: 市立病院の経営悪化など市財政が逼迫する中、議会自らがコスト削減の姿勢(身を切る改革)を市民に示す必要がある。
- ICT化による機能維持: 導入予定のICT(情報通信技術)を活用することで、議員一人ひとりの調査能力や事務効率が向上するため、定数減が直ちに議会機能の低下にはつながらない,。
2. 反対・慎重派の主張
これに対し、反対・慎重派の議員からは、民主主義の観点や手続きの不備を指摘する声が上がりました。
- 民意の反映と議会機能の低下: 定数削減は「民意を削ること」に等しく、多様な市民の意見が反映されにくくなる懸念がある,。また、安易な削減は行政の監視機能を弱める恐れがある。
- 財政的寄与への疑問: 一般会計に占める議会費の割合は0.5%程度に過ぎず、定数を2人減らすことによる財政的効果は限定的である。議会費は「民主主義のコスト」として必要不可欠である。
- 議論プロセスの欠如: 今回の提案は一部会派による非公開の場(会長会議等)で示され、市民や全議員が参加する公開の場での十分な議論を経ていない。江別市議会基本条例が掲げる「開かれた議会」や「合意形成の努力」に反する。
- 市民の多様な声: 削減を求める声がある一方で、慎重な議論を求める市民からの陳情(陳情第5号)も提出されており、それらを無視して即決するのは乱暴である。
3. 議論の結果
本議案の取り扱いをめぐり、詳細な審査を行うための「委員会付託」を省略するかどうかが採決されました。提案側は、既に検討は尽くされているとして「委員会付託の省略」を求め、反対側は「慎重に審査すべき」と主張しましたが、起立多数で委員会付託の省略が決まりました。
その後、各議員による討論を経て採決が行われ、起立多数により、議員定数を25名とする改正案は原案通り可決されました。これにより、2019年1月以降の一般選挙から新定数が適用されることとなりました。
