2/6に旭川市、2/15に帯広市に政務調査費を用いた視察に行ってきましたので、報告いたします。
両市ともに、道内で鉄道高架事業とそれに伴った駅周辺の土地区画整理事業を行っている自治体です。旭川市は事業中、帯広市は事業を完了しています。
江別の顔づくり事業について考える際の参考とするために、現地の様子を一度見ておきたいと考えておりました。特に、事業の目的とその評価方法、費用対効果の考え方についてをヒアリングのポイントとしました。
1.旭川市
事業年度 平成8−平成26
鉄道高架延長 3.5km
鉄道高架事業費 542億円
土地区画整理事業面積 86.2ha
土地区画整理事業費 299億円
旭川市では、「北彩都あさひかわ」という駅周辺開発事業を行っており、このプロジェクトの中に鉄道高架事業と土地区画整理事業が含まれています。
このプロジェクトの大きな目的は、中心市街地が駅の南側に発展することを阻んでいた鉄道と忠別川という障害を克服するということと、旧国鉄の民営化によって払い下げられた駅周辺の土地を高度利用するというものです。
旭川市の場合、鉄道と平行して忠別川が流れており、鉄道を高架化することで除去される踏切が無いため、連続立体交差事業ではなく、限度額立体交差事業という形で高架事業が行われています。これは、忠別川にかける新しい2つの橋を鉄道の上を跨いでかけるとした場合の事業費を限度額として補助されるもので、不足分は旭川市の負担となるものです。
プロジェクト全体では、忠別川を挟んで駅南側に市街地を広げるために新たな橋をかけることが最も大きな目的であり、鉄道高架はそれに付随した形になっています。
費用対効果の考え方については、事業採択時に公共事業の投資額に対する経済波及効果という形で試算されています。投資額に対する生産誘発額を計算するもので、平成6年に1.7倍と試算されています。
事業の評価方法については、総事業費に対する進捗率を把握していたのみでしたが、平成18年からは施策評価が取り入れられています。施策評価では、施策の必要性や目標達成への効果といった点から評価が行われます。
本プロジェクトについては、成果指標として快適に生活できる環境にあると感じる市民の割合、心地よい景観だと感じる市民の割合、中心部の歩行者数、高速交通利用者数があげられ、評価指標として事業区域における宅地利用率や南北道路の通過交通量があげられています。
旭川市の取り組みで特徴的なものは、北海道・JR・旭川市などの関係事業主体や学識経験者で構成される「まちづくり推進会議」という組織をつくっているところです。この組織はプロジェクトの中の各事業を連携・調整し、駅舎や高架のデザイン、事業区域に建設される新しい建物のデザインについても調整を行うことで、まちづくりに一体感を持たせる役割を担っています。
2.帯広市
事業年度 平成元−平成15
鉄道高架延長 6.2km
鉄道高架事業費 280億円
土地区画整理事業面積 19.2ha
土地区画整理事業費 207億円
帯広市では、市街を鉄道が斜めに横断しており、駅北側に中心市街地が形成されています。一方、住宅地は駅の南西部に広がっているため、朝夕の通勤時には必ず鉄道を跨ぐ必要があります。
鉄道高架化前までは、踏切を使わずに鉄道を跨ぐ道路は2箇所しかなく、慢性的な渋滞と交通事故の発生が大きな問題となっていました。そのため、昭和50年代から鉄道高架の必要性が認識され始め、平成元年から高架事業が開始されました。
当時から、国の鉄道高架事業に採択される基準として、踏切交通遮断量の交通量が2万台時/日であることが求められていました。これを適用すると、帯広市では中心地の2.3km分しか高架にできませんでしたが、帯広市の行政と民間が一体となった取り組みで国に必要性を訴え、市街全域をほぼカバーする6.2kmの高架事業として採択されました。
高架化された6.2kmの両端には市街を環状に回る道路があり、都市計画を良く考えて高架の範囲が決められたと言えます。
費用対効果の考え方については、北海道帯広土木現業所によって、高架事業完了後の効果が計算されています。それによると、道路整備と踏切除去による時間便益(年間走行時間短縮便益)と走行便益(年間走行経費減少便益)の30年間の合計は836億円になり、鉄道高架事業費の約3倍になっています。
その他にも、騒音や振動の低減度合いの調査、地域住民への満足度調査、事業所へのアンケート調査などといった項目で事業の評価を行っています。
帯広市も北海道の他の地域と同様に車での移動がメインであり、鉄道高架によって益々、車での移動が便利になったとのことです。特に通勤ラッシュ時の渋滞緩和に対する効果は、多くの住民に理解されているようでした。
ただし、帯広市においても鉄道高架を計画した当時には考えもしなかった中心市街地の空洞化が大きな問題になっています。
帯広市は北の屋台に代表される中心市街地の活性化策で有名ですが、時代背景に応じた都市機能の更新が必要であると認識されているとのことでした。
3.その他
両市ともにホテル屋上や市役所展望台から、鉄道高架と市街の状況を一望させて頂くことができました。
旭川市は、鉄道の隣が川ですので、市街地を分断する鉄道というイメージにはなっていませんが、新しい橋ができると川を挟んだ駅南地区が駅近のイメージになるのが分かります。現在工事中の新しい旭川駅は4面7線のホームを高架上に作るので、見た目にもかなり大掛かりなものを作っています。
高架完成後に駅周辺の土地利用がどこまで進むかがポイントになると思われます。
一方の帯広市は、正に市街地の真ん中を鉄道が斜めに分断しています。上から見ると、鉄道高架の必要性が良く分かります。また、駅周辺にはホテルやマンションなど多くの建物が建っており、高架完成後に駅周辺の姿は随分と変わったとのことでした。
旭川市が10年前に事業開始、帯広市が更に10年前に事業を開始しておりますが、両市ともに、国及び北海道において公共事業を推進する時代背景の中で計画されたものであり、事業が比較的スムーズに進んでいった印象を受けました。
参考)江別市の事業
事業年度 平成18−平成36
鉄道高架延長 2.4km
鉄道高架事業費 153億円
土地区画整理事業面積 10.6ha
土地区画整理事業費 80億円
※顔づくり事業の総事業費は376億円
旭川市と帯広市の視察
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