R4年9月議会(第3回定例会)の一般質問

今回の一般質問では、病院事業管理者の地域医療に対する考え方や、小・中学校における主権者教育の取り組みについて質問しました。
 
1. 病院事業管理者の地域医療に対する考え方について
岡:4月に市立病院の経営に裁量を持つ病院事業管理者が新たに設置された。長谷部病院事業管理者は、地域医療に対してどのような思いをもって市立病院の経営に臨まれようとしているのか?
 
病院事業管理者:
私は、長年に亘り、医育大学において、幅広い内科領域の医学・医療の進歩と充実に心を砕きながら総合力を兼ね備えた専門医の育成に力を注ぎ、多くの医療機関と連携しながら、地域医療の発展に努めてきた。
将来めざすべき地域医療の形として、デジタルとアナログの二つの要素を含む「高度先進地域医療」の概念を用いている。
一つは、デジタルを代表するような先進的・革新的医療技術は、地域医療においてこそ、本領を発揮し得るものであるとの捉え方である。例えば、知名度が増してきたダビンチのようなロボット手術は、手術室の片隅に座る人間の手許の操作を、手術台に向き合うロボットの精緻な動きに替えることで、困難な手技を克服する、遠隔操作医療の最も基本的な型である。こうした遠隔操作医療こそが、文字どおり遠隔地・地域医療の本質的な技術となり得るものであり、すなわち、東京に居る外科医がコントロールパネルを操作することで、江別の手術台に寝ている患者様の手術を行う時代が来る。
もう一つのアナログの要素は、「原点回帰」の医療者の姿勢である。完璧なAIが医療の世界を席巻するとされる近未来においてこそ、私共は、一層患者様に寄り添う「原点回帰」のアナログの医療姿勢を忘れてはいけないとの思いがある。教育の現場で、検査や画像のデジタルデータだけをみて、病気を理解したつもりの若い医師を指導する際に、私は、「頭の天辺から脚の先まで患者様を診てこそ医療である」と言ってきた。そして、患者様の話を聞き、共感し、患者様を癒やしてあげることが、我々人間がAIに優り得る点である。より一層患者様に寄り添う、アナログな姿勢を追求することが、「高度先進地域医療」に不可欠な本質的要素の一つである。
「高度先進地域医療」の概念を導入することが、これまでの地域医療や、僻地医療にまつわる負のイメージを払拭することにつながり、地域医療に携わる、医療者達のプライドを生み出すきっかけになることを、期待するものである。
 
岡:市立病院の地域医療における位置づけや着任された印象は?
 
病院事業管理者:今後、益々高齢化が進展する中、がんと闘う高齢の患者様が札幌市まで通院しなければならない現状を考えると、市立病院の役割は、急性期の入院治療、地域の医療機関と連携した救急医療、がんを初めとする一定の専門医療、市内で唯一病床を持つ小児医療、唯一の分娩施設としての周産期医療、認知症対応に欠かせない精神医療など、市民が住み慣れた地域で安心して生活を続けられるよう、必要な医療提供体制を維持する責務があると考える。特に今般のコロナ禍では、札幌市内の医療体制がひっ迫する中、新興感染症への対応が、市立病院の大変重要な役割であることが再認識された。
4月に市立病院に来てから、役職医師のみならず全部門の職員との面談を通じて、私がまず感じましたことは、経営再建に向けた、職員の機運の高まりでした。全ての職員の情熱と英知を結集して再建を成し遂げる姿勢が重要と考え、各職員のモチベーションを上げる工夫を講じながら、元気の出る組織作りを進めている。
 
岡:病院事業管理者の考えを広く市民に伝え、市民の意見を聴く必要があるのではないか?
 
病院事業管理者:経営が悪化し、必要な医療を受けられるのか、市立病院自体が無くなるのではないか、といったご不安を患者様、市民の皆様に与えておりました事は事実ですので、その信頼を回復するために、市立病院が何に取り組んでいるのか、何を目指そうとしているのかを市民に広く知ってもらう必要がある同時に、ご意見をお聞きすることは大切であると考えている。
市立病院が取り組む経営再建のプロジェクトと目指す医療の方向性などとともに、市民の皆様の関心が高い健康・医療をテーマとした講演会を開催するなど、私の考えを広くお知らせし、市民の皆様と対話することができる機会をつくる上で、より効果的な手法を検討していきたい。
 
2. 小・中学校における主権者教育の取り組みについて
岡:小・中学校段階における主権者教育の充実の必要性の認識は?
 
教育長:平成23年に総務省の研究会がまとめた報告書において、新たな主権者教育として、「国や社会の問題を自分の問題として捉え、自ら考え、自ら判断し、行動していく主権者を育成していくこと」を目指すとされている。
教育委員会としては、児童生徒が主体的に、身近な課題に意見を出し合い、段階的に社会参画の実践を進めるなど、主権者としての資質・能力を身に付けていくことが重要であると認識していることから、学校における発達段階に応じた主権者教育の充実は、必要であると考えている。
 
岡:給食の献立、学校の備品整備、校則の見直しなど、日々の学校生活の中で、こどもたちの声が届き、それによって影響を与えられるという経験を積んでいく仕組みづくりが主権者教育としても重要ではないか?
 
教育長:主権者教育に係る、小学校低学年児童に給食の意見を聞くことについて、学校給食は学校給食法において、心身の健全な発達と食育の推進を図ることなどを目的とする学校教育にとって重要なものであり、議員ご質問の子どもの意見を聞くことは、栄養バランスなど献立の反映には一定の制約はあるものの、主権者教育につながる取組の一つであると考えている。
児童生徒にとって身近な社会である学校生活の充実と向上を目指す児童会・生徒会活動は、主権者としての意識を涵養する上で大変重要であり、市内小中学校では、児童会・生徒会活動や学級活動の中で、協働して自主的に課題解決に取り組み、自治的な活動を実践的に学ぶほか、修学旅行等の学校行事の内容について、児童生徒が意見を出し合い、計画する場面を可能な限り取り入れることなどにより、児童生徒の主権者としての資質・能力の育成に取り組んでいる。
また、ガイドラインをつくり校則の見直しに生徒が参画していくことについて、校則は児童生徒が健全な学校生活を営み、よりよく成長していくための指針となるもので、校長が定めることとされているが、校則の見直しに当たり、生徒が意見を述べることは、身近な課題に意見を表明し、合意形成を図り物事を決めていく実践の場として、自治的な活動を実践的に学ぶことにも直結する、主権者教育として有効な取組と考えている。
これらを進めるに当たり、学校間で共通認識を持ちながら進めることについて、校長会と相談していく。教育委員会としては、小中学校における発達段階に応じた主権者教育が、より一層充実するよう、学校を支援していく。

タイトルとURLをコピーしました