H29年6月に「市立病院・地域医療検討特別委員会」が設置され、H31年3月まで議論が行われました。
1. 特別委員会の設置理由
特別委員会は、2017年(平成29年)6月、江別市の財政が逼迫する中で、市立病院および公立病院のあり方を検討するために設置されました。
主な背景として、以下の点が挙げられます。
- 経営状況の悪化: 1998年(平成10年)の新築移転後、不良債務が発生し、経営健全化計画を策定したものの単年度の収支均衡が達成できませんでした。
- 「平成18年問題」の再来への危機感: 2006年(平成18年)に内科医が全員退職したことで診療収益が激減し、多額の不良債務を抱えた歴史があります。その後一旦は回復したものの、2017年度(平成29年度)から再び医師不足(特に総合内科医)による大幅な減収と資金不足に直面しました。
- 地域医療の確保: 高齢化が進展する中、救急・小児・周産期・精神医療といった不採算部門を含む地域医療をいかに維持し、民間医療機関と役割分担するかが課題となっていました。
2. 主な審議内容
委員会では、現状把握から具体的な課題解決策まで多岐にわたる審議が行われました。
経営状況と資金繰り
- 毎月の診療収益、患者数、病床利用率の報告が行われ、当初計画との大幅な乖離が継続的に議論されました。
- 特に資金繰りについては、2018年度(平成30年度)末に一時借入金が20億円に達する見込みとなり、一般会計から6億円の長期貸付金を受けて対処する補正予算が審議されました。
医師の確保と定着
- 最大の課題として、総合内科医の退職と、それに伴う指導医不在による若手医師の確保困難が挙げられました。
- 大学医局(北海道大学等)との関係再構築や、民間紹介会社の活用など、医師招聘の必要性が議論されました。
病診連携(地域医療連携)
- 市内の開業医からの「紹介率」と、病院からクリニックへ戻す「逆紹介率」が目標に届いていない実態が報告されました。
- 市立病院が急性期医療を担い、かかりつけ医と役割分担をする「地域完結型医療」の構築が目指されました。
病棟再編と勤務体制の変更
- 患者数減少に合わせ、効率化のために2018年(平成30年)10月から東3病棟(50床)の休止を決定しました。
- 看護職員の負担軽減と確保のため、従来の3交代制に加えて2交代制(16時間30分勤務)を導入するための条例改正が審議されました。
経営形態の見直し
- 地方公営企業法の「全部適用」や「地方独立行政法人化」、「指定管理者制度」などのメリット・デメリットおよび移行に伴う費用(最大約101億円)の試算が示されました。
3. 結論と提言
委員会は、2019年(平成31年)3月19日に調査終了しました。
最終的な結論としての方向性
委員会は、個別の対策だけでは限界があるとして、以下の内容を含む「所管事務調査報告」をまとめました。
- 第三者諮問機関(専門家会議)の設置: 市長に対し、経営改革・再建のための第三者による検討の場を設けるよう求めました。
- 経営方針の抜本的転換: 経営形態や診療体制の見直しを視野に入れ、収入に見合った支出という企業会計の原則を徹底することを提言しました。
- 情報開示と市民参画: 経営情報の丁寧な開示と、市民が主体的に市立病院を支える意識を持てるような場(シンポジウムの継続など)の充実を求めました。
- 医師招聘と定着化への注力: 経営再建の根幹である医師確保に向け、市長のリーダーシップによる大学医局や市内医師会との連携強化を強く求めました。
- 結果責任の明確化: 一般会計からの多額の繰り入れが続く現状に対し、経営改善の結果が出ない場合の設置責任者(市長)としての覚悟を求めました。
